「たらふくちゃん番外編」

俺が俺らしく俺を取り戻すィヨコハマ。そんなハマ風が心地よいDEEPスポットの中でも、とびきり濃厚なグルーヴを発するのが長者町のエイトセンターだ。BGMはクレイジーケンバンドの「長者町ブルース」でご一読くださイイネ！

まずはすぐ隣の福富町からハマ散歩してみる。この辺りは絶滅寸前の昭和遺産ビルの宝庫だ。イカした外観がグッとくるぜ。

丸いサインがイイネ。チャイナスーツを着た俺は、どう見ても謎の東洋人にしか見えないが実は赤星探偵団だ。

強烈にカオスすぎる。韓国料理からイタリア料理、さらにスナックまで、このミクスチャー感が港町のハマっぽさなのだろう。

まるで香港の路地裏にいるような気分だ。さらに俺も怪しく見えてくるというか、スカした香港野郎なのかもしれない。

福富町から長者町に入った瞬間に出現するのがエイトセンタービル。大量の丸いサインにハマ気絶！　1964年の東京オリンピックに向けて当時あった露店をビルに集め、野毛の都橋商店街と同時期に作られたらしい。

怪しすぎるグルーヴが俺を興奮させる。俺の「赤星」センサーはどこで反応するのか？

アセるな！　落ち着け！　クールにキメるのだ。夜のコーナーで俺の中のアニキがスパークする。ちなみに長者町8丁目にあるのでエイトセンターということ。

狭い通路を思うままに散歩すればイイネ。とその前にこのチャイナスーツの話を。フランスで暮らす中国移民のために90年代頃に作られたものだ。襟がスタンドカラーではなくフレンチワークジャケットのようなディテールが気に入っている。

とその時、俺の「赤星」センサーが急に何かを感じた。ここに間違いないぞ。「たらふくちゃん番外編」に思いのままアニインしてみる。

外観が怪しいほど、中に入ると逆に心が落ち着くってやつだ。カウンターのみで、どこかパンクでロックなグルーヴを感じる。

ここは関内にあるマカサラが有名な「たらふくちゃん」の別店舗なので番外編ということ。どれも昭和で魅力的なメニューだぞ。

まずはマカサラとこいつで、散歩中の乾いた喉を潤す。ハマで飲む「赤星」がイイネ！　カウンターの段差がパンクでロックだ。

強烈にウマイイネ！　ゆでたまごと黒胡椒がプラスされた番外編だけのマカサラにアニ気絶！

ふと見上げると、仁義なき戦いのフィギュアとアラレちゃんキャップが。しかもよく見ると金子信雄ってのがブイシーなだけに、んちゃ！

さらに傷天のDVDが！　「アニキー」と俺の中のアニキがショーケンに叫ぶ。まだルービーだけなのに心が酔ってきたぞ。

マスターのミッキーさんに、目の前で焼いてくれるオススメのたこ焼きをオーダー。出会った瞬間に心が通じ会話が弾む。そんなナイトスポットにエイトセンターで出会った。

ウマすぎるよ、ミッキーさん。大阪散歩で、たこ焼きを食べ忘れた俺にはグッとしみるぜ。

ホクホクでこれはたまらない。ミッキゼツ……エイト昇天！ミッキーさんは、一体何者なんだろう？

「赤星」がとまらない。頭の中でクレイジーケンバンドの名曲が流れる中、ハマの思い出がよみがえる。

たこさんウィンナーは赤ではなくシンプルなやつだ。サイドのカニカマもイイネ！

〆はオム塩焼きそばで昭和にワープだ。ソースではなく塩ってのがイイ〜ネ！

強烈にウマい。ハマなのに大阪テイストとロックを感じるのはなぜだ？

実はミッキーさんは音楽関係の仕事もしていて、関内のたらふくちゃんのオーナーは元々バンドマンだったのだ。2人は20年来の付き合いでパンク好きな音楽友人ということ。エイトセンターの番外編は3年前からミッキーさんがマスターとして店に立ち、料理も全て1人でこなしている。元々料理が得意だった事もあり、関内店舗での修行もせず、飲食店経験のないまま番外編を任されることになったのだ。正に独学でパンクすぎるぜ、ミッキーさん。子供の頃に大阪に住んでいた事もあり大阪テイストの料理が多いらしい。

ミッキーさんと友立ちしながらハマ風に吹かれてみた。俺は思った。これからどんな困難な事があってもスーパーポジティブに笑い飛ばし、散歩するように歩んでいきたい。横山剣さんもそう歌っていた。さてと、野毛で一杯だけひっかけてもう少しハマ散歩してみるかな。

90年代頃のフレンチチャイナスーツ。フランスの中国移民向けに作られたもので、カンフースーツのようなチャイナ感とフランスのワークウェアが融合されたデザインとなっている。全体的にはチャイナ風に見えるが、ラウンドした襟、胸の片ポケット、パンツのサイドアジャスターなどはフランスワークのディテールだ。古着屋などで運が良ければデッドストックを見つけることができる。

Text：Eiji Katano
Photo：Shimpei Suzuki