2016年最後の12本目を飾るのは銀座のど真ん中に現存する昭和遺産「白いバラ」だ。昭和なキャバレーで1人飲みするのがアニ散歩の流儀。
着ていったのはグレイフランネルのスーツ。もちろんカシミアの白いタートルでサラッと着こなし、ザギンでダンディズムを気取る。
強烈な昭和オーラを放つ外観。
全国のフロアレディが約100人迎えてくれる天国が待っている。しかし俺は東京生まれなので、今回は指名をしないのだ。俺の目的は他にある。読者の皆様は、忘年会シーズンに複数で来店し、ぜひ故郷のフロアレディと最高のひと時を楽しんでいただきたい。
この純白のトビラの向こうは、いったいどんな大人の世界が広がっているのか?
一歩入ると「真っ赤なスカーフ」を歌ってしまいそうなカウンター。
とてつもなく広いフロアには、真っ赤なビロードのソファ。
見上げてしまうギラギラしたステージと飛行機のタラップのような階段。
気が付くと、アニ立ちしていた。
2階のステージが見下ろせる席も悪くない。
昭和ワールドに興奮した俺は、1階ステージ近くの席に着き、大瓶の赤星を注いだ。軽いおつまみとドリンク1品のセットがデフォルトで、その他は追加料金となる。
相変わらず美味い。この異次元空間では格別の味だ。キャバレー最高!!
小腹が空いてきたので、ここで名物のカツサンドを追加注文。
オーダーが入ってから揚げる本格的な一品。
美味すぎる!!昭和なキャバレーで1人飲みカツサンド。ジューシーな肉で気絶&気絶。
ステージを見上げると昭和なバンドが心地よい演奏をしている。本当は1人飲みではなく、素敵なフロアレディを指名したいが俺の目的は違うのだ。
それはこのステージで歌うこと。なんとここでは生バンドでカラオケが歌えるのだ。赤星を飲んで気持ちを落ち着かせる。
生バンドのカラオケ経験はあるが昭和キャバレーの聖地ステージということで、正直緊張してきた。喉を潤しながら何を歌おうか自分に問いかける。
渾身の1曲を決めステージへの階段を上る。すでにこの時点で完全にアニキリサイタル気分で気持ち良すぎる。(この階段はショー使用のみで通常営業のカラオケの際は使用不可です。)
演奏が始まり、河島英五さんの「時代おくれ」を熱唱。
ステージ上からは今まで見たことのない景色が広がる。
完全に自分に酔える最高のひと時。
歌いながら何度も気持ちよすぎて気絶。
夢のようなステージを終え階段を降りる。
この後、レジェンド常連のお客様が数名カラオケを歌われていた。俺なんか、まだひよっこだと思ってしまうほど年季の入った歌いっぷりに完敗。そして名司会による生バンドのイントロクイズが始まった。
4問のクイズで昭和から平成まで幅広い曲に店内は大盛り上がり。楽しすぎるぞキャバレー!!
さらにプロのダンサーによるド派手なショータイム。飽きさせないぞキャバレー!!
客席の目の前で歌ってくれるなんて。近すぎるぞキャバレー!!
豪華絢爛なショータイムの後はフロアレディとのチークダンスも楽しめるのだ。40男が青春を楽しめる。それが昭和のキャバレー「白いバラ」なのだ。
ここで3代目社長の大住さんに伺った「白いバラ」ストーリーを。戦前に祖父の初代社長は広島から銀座に上京し夫婦で一杯飯屋を始めた。その後昭和6年に「白いバラ」をスタートし創業85年になる。
最初はカフェと呼ばれていた。ちなみに純喫茶はお酒ではなくコーヒーなどのノンアルコールを出すという意味で純がつく。カフェは、後にきれいなウェイトレスが接客するスタイルになりキャバレーへと進化していった。
全国各地出身のフロアレディは2代目社長のアイデアで、ういういしい素人っぽさの伝統を今も守っている。ドリンク一品のビールが大瓶というのも、そんな女性が両手で注いでくれる姿にグッとくるからなのだ。
ただノスタルジックで懐かしいだけでなく生演奏のカラオケ曲は平成の曲も用意し、ショータイムも新しい演出を取り入れている。
気になるのは料金システムの話。安心してください。12月は年末料金となり通常月より若干高くなるが一番お得なのは18:00~21:00までのサービスタイム。
18:00に入店すれば、ゆったり3時間ドリンク一品に簡単なおつまみがついて9,200円で楽しめるのだ。忘年会で2件目に行くなら21:00入店を目指し2時間で12,000円というわけ。
クレジットカードは使用不可の現金会計のみなのでご注意を。
追加のフードメニューはカツサンドをはじめ良心的なメニューが揃っている。12月の忘年会シーズンはサービスタイムに限り、2時間飲み放題でお寿司、から揚げの他にフロアレディ指名料込みで12,900円のお得なコースもあるのだ。
さあ今すぐ予約して「白いバラ」で赤星を飲み昭和な大人の遊園地を堪能していただきたい。
白いカシミアのタートルネックニット。白いニットはどこか懐かしくもダンディな雰囲気が出る。素材はカシミアをチョイス。黒と2色買いしたユナイテッドアローズのオリジナル。
Text:Eiji Katano
Photo:Kou Maizawa