夏の終わりの夕暮れがやるせない。楽しい季節が終わろうとしている。あと何日この短パンを履けるだろうか?そんなリラックスしたスタイルで俺が愛する鉄なべ餃子を求め南阿佐ヶ谷へ向かった。
毎年新色を買い足しながら夏の相棒としてヘビロテなパタゴニアの名品、バギーズ・ショーツ。そのまま海パンにもなり、すぐ乾く上にとにかく楽ちんなのだ。
そんな短パンには長袖のカットソーが大人スタイル。セントジェームスのバスクシャツは、あえてシンプルな無地でいい。
足元はビルケンシュトックのボストンでゆる〜く散歩。数あるモデルの中でもこいつがマイスタンダードだ。
阿佐ヶ谷をブラブラして青梅街道沿いの「博多鉄なべ なかよし」へ。ここは都内で本格的な博多の鉄なべ餃子が味わえるアニスポット。まずはいつものこいつを注ぐ。
ぷはっ!最&高な夏の終わりに乾杯。
餃子だけでなく、他のつまみも充実していて嬉しい。福岡には通年おでんがある酒場が多いのだ。
何と言ってもすぐつまめるし。関東にしかないちくわぶを、博多スタイルの酒場でつまむ東京スタイル。うーんウマい!出汁もイイね。
餃子ビール餃子ビールの一人ギョービーの時はこのカウンターと決めている。目の前で鉄なべ餃子が焼かれる様子を眺められるからだ。餃子は注文が入ってから作って焼かれるので、かなり時間がかかる。最初につまみ数品と一緒に注文して待つべし。
これこれ!鳥レバー煮も絶品。臭みがなく柔らかいレバーで味付けがなんとも九州なんだなあ〜
店主の中島義雄さん自ら心を込めて餃子を包む。男が惚れる男の仕事っぷりだ。
宮崎の地鶏の炭焼きも外せない一品。博多だけでなく宮崎の名物も味わえる南阿佐ヶ谷の九州巡り。こりゃあすでに「赤星」が一本空きそうだ。
厨房ではエンドレスで餃子焼きが続く。早く食べたいけど、焦らされている感じさえも楽しむ。あと一品つまみが来るので、もう少し我慢我慢。
博多屋台では定番のにらとじ。ここのニラ玉には少し醤油をかけていただく。これがシンプルなのに妙にウマい!餃子までもうすぐだ。
「赤星」をおかわりして餃子を待つ。もう我慢の限界だ!見ているだけで興奮してきたぞ。
とその前に準備を忘れてはいけない。心を落ち着かせ調味料スタンバイGO GO!
自家製の餃子のタレに九州発祥の柚子胡椒を薬味として入れる。お好みでラー油でもいいが、俺はこいつと決めている。
さらに赤胡椒を少々。あとは焼き上がりの餃子を待つだけだ。
ドーン!これが一人前で20個の気絶ギョーだ。相変わらず美しすぎるぜ。南阿佐ヶ谷で博多を食す至福の時がきた。
もちもちとした手作りの皮とサクサクパリパリの焼き面で瞬間気絶!さらにパンチの効いたしっかりとした味のある餡は豚肉の旨味とキャベツ、玉ねぎの甘みに、ニンニクが凝縮。つまりギョー気絶!
強烈にウマすぎるぞ、鉄なべ!これこそ都内のキングオブ鉄なべだ。タレを付けず、そのままでもイケるし、一個一個に魂を揺さぶられるぜ。
餃子ビール餃子ビール・・・つまりギョービーのループがとまらないアニ気絶・・・・・鉄なべ昇天!
気持ちよく昇天したところで鉄なべの話を少し語らせてくれ。あまり知られていないが鉄なべの発祥は北九州の八幡なのだ。数年前に八幡の折尾にあるその発祥の店「本店 鉄なべ」で食べたのがこれだ。
ここで働いていた姉妹が博多に出て屋台として始めたのが博多の鉄なべということ。さらにその後、姉妹とその親戚は博多で三店舗の独立した鉄なべを創業した。現在博多には「鉄なべ 中洲本店」 、「鉄なべ 荒江本店」、「博多祇園 鉄なべ」の3系統あることになる。
まとめると北九州で生まれた鉄なべは博多で進化して全国的に広まったということ。
「なかよし」はそんな博多の鉄なべが身近に都内で味わえる貴重な店なのだ。
「なかよし」の店主中島さんは先ほどの「博多祇園 鉄なべ」から独立し、暖簾分けとして30年前に南阿佐ヶ谷で店を始めた。中島義雄さんの名前から「なかよし」という店名にしたらしい。いただいた名刺の裏には博多の鉄なべ3系統の店舗名が入っていた。博多の鉄なべ事情は少しややこしいが、どこの店も鉄なべ愛があり店独自に進化させているのだろう。元祖とかルーツとか色々あっても単純に自分の好きな鉄なべがウマければ、それが最&高ということだ。
パタゴニアの名品、バギーズ・ショーツ。夏の超定番として欠かせない名作短パン。速乾性の高い特殊なナイロン生地でランニングからスイムまで水陸両用なスグレモノ。メッシュのインナーが装着されているのでとにかく快適だ。
Text:Eiji Katano
Photo:Shinpei Suzuki