俺が愛してやまない溺愛スニーカーを履いて、昼下がりの北千住を散歩することにした。
ニューバランス1300は、ミスターこと、あのラルフ ローレンさんも愛用していたと言われる名品。最高の履き心地は、一度履くとやみつきになり3万オーバーのプライスにも納得してしまう。
そんなお気に入りの一足は、ピケの5ポケットパンツにシャツをインして履くべし。ベルト無しで腰回りをスッキリ見せ、ニットタイをキュッと締めるのが俺のスタイルだ。
赤羽と同様に飲兵衛の聖地とも言われる北千住は駅に降り立つだけで心が踊る。
再開発された駅前の広場から一本路地を入ると、強烈な昭和オーラを発する「飲み屋横丁」に吸い込まれていく。
DEEPな横丁は散歩するだけでも酔ってくる大人のワンダーストリートだ。
さらにカオスな路地は続く。昼下がりの散歩で喉が乾いてきたので、そろそろルービーって気分になってきた。
北千住にある名酒場の一つがここ「千住の永見」だ。暖簾を潜り一歩入ると、本物の昭和酒場にテンションが上がる。
午後3時半に開店するやいなや、カウンターで常連が一人呑みしている。これぞ北千住スタイルだ。
俺は常連ではないのでカウンターには座らない。老舗の大衆酒場には聖域と呼ばれるエリアがあるもの。むやみに踏み込まないのがアニ流儀。
俺の喉を潤す至福の赤い北極星をグイッと流し込む。さてと、初めての酒場なのでつまみは名物の三品にしてみることに。
一品目はマグロのブツ。近くの足立市場から毎日仕入れるため、新鮮な魚が味わえるってワケ。
美味すぎる!大衆酒場には欠かせない一品だ。
誰もが注文するマストな名物、千寿揚げ(ニンニク入り)ドーン。
しっかりと味がついているそうなので、塩だけで食べてみる。
マジでヤバすぎ、美味すぎる!揚げたて熱々で玉ねぎの甘みと絶妙な味付けが口の中に広がる。ニンニクが効いていて千住気絶・・・・・・千寿昇天!ニンニク無しもあるが、男は黙ってニンニク入りにしてくれ。
つまみが美味すぎて「赤星」が止まらない。すでに2本目の大瓶をグイグイっと。飲み続けても飽きがこないとこが好きなんだよなあ〜
三品目は、ハンバーグみたいなかわいいこいつ。温泉卵が乗った鳥軟骨つくね焼き。王道な焼き鳥のつくねとは異なる魅力的なルックスはどんな味なのか?
ジュージューな鉄皿の上で温泉卵を一気にかき混ぜて食うべし。あ〜コリコリ軟骨にトロトロ黄身でウマ気絶!飲みながらつまんでも冷めないのが嬉しい。
三大名物を完食したその時、なんと短冊に裏名物の文字が!堂々と裏って赤字で書いたら表でしょと突っ込みながらも気になって仕方がない。えっ?20時からなのか・・・・・・まだ夕方だしガッカリ無念。しかし男は諦めてはいけない。注文できないかダメ元で聞いてみることに。
〆の支那そばドーン!熱意が伝わり、今回は特別に作ってくれたのだ。永見の大将ありがとうございました。
シンプルの中のシンプルを極めた王道な美味さに裏気絶!
スープまで完食。ご馳走様でした!「千住の永見」は千住の顔として今日も飲兵衛で大賑わいだろう。
支那そばで〆たのに、この街ではついついハシゴ酒したくなる。店を出ると自然に足があの店に向かってしまうのだ。わかっちゃいるけど、やめられない。だってここは北千住だから。
このニューバランス1300は2015年復刻のモデルで、いい感じにエイジングされてきた。グレーのレザーがややオリーブ色に変化していく過程も楽しめる。ドレスシューズのオールデンのようなホールド感は、どこか品がありMADE IN USAでしか味わうことができない名作だ。
Text:Eiji Katano
Photo:Shinpei Suzuki