酒のつまみは数あれど、とりわけポテトサラダをこよなく愛すマッキー牧元氏。「ポテサラ学会」の会長でもある氏が、ポテサラが旨いと評判の店に足を運び、その美味しさとビールとの相性を語る――。
■おしゃれな伯父さんより頑固な親父
「頑固な親父ではなく、ちょっとおしゃれで面白くて、会えば『酒飲むか?』なんて伯父さんに憧れていたりする少しヤンチャな男の子っているでしょ。このタレはその伯父さんで、ベーコンはヤンチャな男のコだね」とは、タベアルキストであり「ポテサラ学会」会長でもあるマッキー牧元氏だ。
ポテトの中にきゅうりと大きなベーコンが入り、さらに甘辛いタレのかかった、北千住の居酒屋『是屋』の名物である「ポテサラ」をまずはパクリとひと口食べた後、マッキー氏は笑顔になり、そして味わいのバランスを家族になぞらえそうたとえた。
確かに大きくカットされたベーコンは、マヨネーズと生クリーム、塩、ブラックペッパーで味付けされた柔らかい味わいのポテサラの中で少々ヤンチャで主張もはっきりしているし、たらりとかけられたタレもちょっとおしゃれで伯父さんがぴったり。
しかし、このポテサラは伯父ではなく、是屋の店主・井上氏の頑固な親父をヒントに考案されたものなのだ。
「もしかして、ポテサラにかかっているこのタレにその理由があるの?」とマッキーさんが尋ねると、井上氏はポテサラにかかるタレの秘密を教えてくれた。
「はい。4年前、店を出す際にポテサラもオリジナルなものにしたいと考えていた時に思い出したのが親父のこと。親父はポテサラにソースをかけて、『旨い、旨い!』って食べていたんですね。だったらソースに変わるものをかければ、親父好み、ひいては男性好みの美味しさになるんじゃないかなって」
「とはいえ市販のソースをかけるわけにはいかないので、すりおろした玉ねぎと醤油、酒、みりんを煮詰めて、ソースに似たタレを作ったんです」
そう説明を聞くと、マッキー氏はポテサラをタレのかかる部分とかからない部分に分けて、それぞれを今度はじっくりと味わってみる。そして……
「タレなしだとマヨネーズ加減が控えめで優しい味わい。タレと混ぜると甘辛さが加わり味がちょうど良い濃さになるんですね……ひと皿で二つの美味しさが楽しめる。これは面白いね!」と上機嫌。
■注ぎ方でビールの味を変えて楽しむ
さて、ポテサラを楽しんだ後はこちら、サッポロラガービール。
「これは実の親父ではなく、常連さんたちの笑顔のために用意したんです。『赤星じゃないか! 置いてくれてありがとう!』なんて喜んでくれる方が多いんですよ」と井上さん。
よく冷えたその赤星を手に取るとグラスに勢いよく注ぐマッキー氏。グラスから泡がこぼれそうになるほど注ぐと、待つことしばし。泡が半分くらいに減ってきたところで、再び注ぐ。また泡が減ってきたら細くゆっくりとビールを注ぐ。
見事にこんもりと泡の盛り上がった3度注ぎのグラスを手に取ると、ゴクゴクゴクと心地よく飲み干すのであった。
「タレのコクとビールの程よい苦味が実に合う」とご満悦。
「3度注ぐことで炭酸が適度に飛び、やさしくまろやかな味わいになるんだよ。1度注ぎだと喉越しのいい爽快な味わいが楽しめる。ビールも注ぐ回数を変えて、気分や料理にあった味わいにして楽しむといいよね」
タレありタレなし。1度注ぎと3度注ぎ。つまり4つの組み合わせが、ここ是屋では楽しめるというわけだ。もちろんマッキー氏は、4つの組み合わせをじっくりと堪能したのはいうまでもない。
■コチラも合います!
「特製タレかけ 炙りベーコンのポテトサラダ」648円をはじめ、アイデアに富みつつも、素材の美味しさを楽しませてくれる居酒屋。赤星に合わせるなら「大エビ丸ごと入りメンチカツ」(通称・エビメンチ)972円がオススメ。
合挽き肉の中にエビが丸ごと1本入っており、メンチのさっくりした食感の後にプリッとした甘いエビが待つという、贅沢なひと品。炒ったエビのからを加えることで香り豊かに仕上げた塩で堪能してほしい。
また「タコの柔らか煮のから揚げ」864円も、味のしみたタコを香ばしく揚げることでビールとの相性は抜群。どちらも赤星目当ての客からの注文が多い定番&人気メニューだ。
お酒は赤星に加え、日本酒や焼酎も豊富に揃える。中でも日本酒は「いろんな味があることを知ってもらいたい」と銘柄にこだわらず、飲みきりで様々なタイプが置かれている。
「おひとり様でも気軽に立ち寄れるお店です。ぜひ一度、料理と酒を楽しみに来てください」(店主・井上紀之さん)