三茶の三角地帯をアクアスキュータムのビンテージトレンチで歩く。襟を立て、ボタンは全て留める。いつどんな時も男は油断してはいけない。
リーバイス501のブラックデニムに、素足のオールホワイトなコンバースがトレンチのダンディ感を軽くするのだ。俺は三角地帯を抜け、赤星のグルーヴに導かれるまま散歩する。
狭い路地裏には入ると外観はごく普通の喫茶店か、洋食屋のような佇まいの店がある。
もう一度言うが、内観も普通だし中華感はほとんど感じられない。しかしここ「らんたな」では衝撃の気絶中華が味わえるのだ。
まずはこいつでいつも「ぷはっ!」三茶で飲む赤い星もイイネ!
中華では必ず注文するアニマストがあるが、念のため他のメニューのチェックも忘れてはいけない。と言ってブレない男はいつものあれを注文する。
まず最初に、野菜を食べるべし。豆苗の炒めだ。油断した俺を衝撃の本格中華気絶が襲う。ウマすぎるぞ!
ルービーに合いすぎる。味付けの丁度いい濃さも、つまみには最&高だ。
ゆで豚のニンニクソースがけで気絶の向こう側へ。柔らかい豚肉に、この特製ソースはやみつきになる。
焼売も激ウマだ。大きめで肉汁が炸裂しまくりの気絶中にすかさず……。
ルービー! つまり、赤い気絶! 焼売の次といえば。
ギョー! 小ぶりでパリパリな焼き餃子でギョールービーがとまらない。「マスターウマすぎるよ〜もっと作ってくれ!」と失恋してないのに気分は失恋レストラン(中華編)だ。
さらにチャー&ハン! やはり誰がなんと言おうと、キングオブ中華は炒飯なのだ。さらに俺にとってチャーは〆ではない。酒のつまみだ。
完全にチャー気絶! 濃い味付けでなければつまみにはならない。これが飲みチャーの条件だ。チャービーがとまらない。
仕上げは甕出し紹興酒でファイナルチャー気絶だ。飲みやすくかなり危険だが、これがまた炒飯に合う。
マスターの筒井さんは、たったひとりで夕方から深夜までこの店を切り盛りしている。調理をするのも注文を取るのも料理を出すのもひとりだ。1度会うとそのなんとも言えないグッとくる人柄はクセになる。料理はもちろん絶品だが、俺には中華スナックのような店だ。時には常連が料理を出して手伝っている時もある。やはり基本は人ということなのだろう。行く度にしばらくすると、また会いたくなってマスターの中華が食べたくなる。身体に気をつけていつまでも「らんたな」をつづけて欲しいものだ。マスター今宵もアニがとう。